今回は、「会計」に関するおすすめ本の紹介だ。
会計作業は、単なる実務上の数字の処理という印象が強く、門外漢からは取っ付きにくいが、ちゃんと理解し学ぶことで、そこから様々な事実が見えてくる。
事業主、ビジネスマンとしてやっていくのであれば、会計の数字に強くなって損はないし、就職先を決めたり会社に投資しようとする場合でも、決算の数字が見えるかどうかで大きな差が出る。
そのための、会計(簿記、帳簿)の本質的な意義を理解し、活用するためのおすすめ本を紹介する。
簿記検定が欲しいとか、公認会計士を目指したいという人は、専用の教科書で勉強する必要があるが、それでも、以下の書籍を読めば理解の助けになったり、モチベーションアップに役立つはずだ。
なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界が変わったのか?
出版社:PHP研究所
発売日:2016年8月25日
乃木坂46所属の人気アイドルである「衛藤美彩」が、「複式簿記が存在しないパラレルワールド」に迷い込むという設定で、「会計」の本質を勉強していく本。
一時期、岩崎夏海の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が、社会現象レベルのベストセラーになったが、それと同じような形式を踏まえた本と言えるかもしれない。
出てくるアイドルに興味がなくとも、会計の基本とその重要性を説明するための、とてもわかりやすい入門書となっている。
会話形式で進んでいくので読みやすく、そのルールと形式が必要とされた経緯もしっかり説明されているので、本質的な理解が進む。
アイドル重視の本かと思いきや、とっつきやすい上にエッセンスがしっかりまとまっていて、かなりの良書だと思う。本職の人たちからも評価が高いのではないだろうか?
今まで会計にはまったく触れてこなかったけど、その意義や必要性を勉強したいという人には、本書がおすすめ。
MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣
出版社:日経BP
発売日:2017年7月13日
数字からビジネスモデルを読み解く「視点」を教えてくれる会計本。
細かい数字を見るのが好きな人、得意な人は少ない。多くの人は表面上の成果やコンセプトにしか着目しない。しかし、会社の「決算」は、最も具体的で信頼の置きやすい「貴重な数字資料」である。
「決算書」や「財務諸表」を読み解くのは、専門的な知識を必要とするが、本書はその「勘所」を教えてくれる。
実際に決算書を読んでどうこうしようとするつもりのない人でも、教養として読んでおきたい内容。
「会計の結果としての数字から一体何を読み解けるのか?」というコンセプトで、ビジネスマンであれば絶対に仕事の足しになる知見が詰まっている。
数字に関わるのが面倒くさく、「決算」のような指標を敬遠していた人にこそ読んで欲しい。
武器としての会計思考力 会社の数字をどのように戦略に活用するか?
出版社:日本実業出版社
発売日:2017年10月26日
「会計」と「ビジネス戦略」をどう結びつけていくのかについて書かれた本。
読みやすいし、本書を一冊終えれば、会計への苦手意識をなくすことができると思う。
「会計」は、慣れないと取っ付きにくく、苦手意識を抱えたまま遠ざけてしまいがちだが、ある程度の知識を得れば、数字から全然違う世界が見えてくる。
著者は、外資系コンサル出身でビジネススクール講師ということだが、企業で働く社会人や経営者として、知っておいたほうが良い知識を余すことなく教えてくれる。
「会社」で働く上で必要な「数字」に強くなれる本。勉強意識の高い社会人には非常におすすめできる良書だ。
稲盛和夫の実学―経営と会計
出版社:日本経済新聞社
発売日:2000年11月7日
会社経営と会計との関わりを書いた本で、長く読まれているベストセラーが本書。
著者の「稲盛和夫」は、「京セラ」や「現KDDI」の創業者で、日本航空名誉会長ともなった、日本屈指の実業家。
「会計哲学」を語った自己啓発的な内容で、会社経営を考える上でのヒントがたくさんある。
仕事で会社の経理などに携わっている人が読んでも、感化されるところが多くあると思う。
会計の実務や勉強のためのモチベーションアップとして活用できる本。
帳簿の世界史
翻訳 :村井章子
出版社:文藝春秋
発売日:2018年4月10日
世界的な「会計本」として有名なのが、本書『帳簿の世界史』である。
「会計(帳簿)」という視点から世界史(欧米史)を眺める、という発想で書かれた本。
「複式簿記」の発明から「会計士」という職業が成立した過程まで、「帳簿」というものと、人々の経済的な営みが、どのように関わってきたのかを、壮大なスケールで描き出す。
「Accountability(説明責任)」という言葉があるが、何らかの業務や研究内容を説明するとき、そこには「どれだけの金が動いたのか」という視点が不可欠であり、「説明責任」とは「会計責任」とほとんど同義である。
「会計責任」があるところにこそ、安定的な社会の発展があるのだ。
お金の流れを正確に記録し、可視化する技術が、どのような形で世界史に影響を与えたのか。「会計(帳簿)」の重要性をじっくり理解できる。
純粋に、歴史本、会計史本として読んでも非常に面白い。知的好奇心旺盛な人や、会計などの実務業に携わっている人に、特におすすめしたい一冊だ。
会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2018年9月26日
上で紹介した『帳簿の世界史』とコンセプトは似ているが、あちらがやや衒学的なのに対して、こちらはエンタテイメント性が高く、イラストや図表が豊富で、読みやすい。ただ本の値段が高めなので、一長一短ではある。
文章、構成、エピソード、図など、非常にわかりやすく、なおかつ面白い。著者の教養にも息を巻く。
歴史上の有名人が多数登場し、人物ドラマとして描かれるので、歴史に詳しくない人でも楽しく読める。
面白い上に、会計の意義が本質的に理解できる。
歴史的背景を踏まえて会計や簿記の誕生と意義を語るので、それ自体のルールを単体で学ぶよりも、本質的な理解が深まるだろう。
数ある会計本の中でも、個人的に最もおすすめしたい一冊。
純粋に教養書として読んでも、様々な発見と知見のある良書。
女騎士、経理になる。
出版社:幻冬舎コミックス
発売日:2016年2月24日(第1巻)
会計を題材にした「漫画」で、「本を読むのがダルい」という人におすすめ。
女騎士が会計士になって異世界を攻略していく「ファンタジー+会計」の英雄譚。
漫画なので楽しく読みやすいが、「一から会計の基本を学ぶ本」としては微妙な出来かもしれない。
グイグイ進んでいく成功譚なのは、読んでいて気持ちが良いが、良くも悪くもファンタジーな内容。
「会計」の有用性を理解し、勉強するためのモチベーションアップとして良いかもしれない。
紹介は以上になる。
当ブログでは、お金を学ぶためのおすすめ本、投資について学ぶためのおすすめ本、などの記事も執筆しているので、よかったら以下の記事も参考にしていってもらいたい。
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