大人や社会人が「日本史」を勉強し直すためのおすすめ本【通史・教養】

今回は、「日本史」を勉強し直すためのおすすめ本を紹介する。

社会人になってから、「歴史を勉強しておきたいな」と思うことは多いはずだ。仕事をしていると「歴史の重要性」に気づかされることは多々ある。

実際、大人になってから歴史を勉強すると、「なぜ当時はこの面白さに気づけなかったのだろう?」と不思議に思うくらい、歴史は面白い!

むしろ仕事などを通して色んな経験をしてから歴史に触れたほうが、歴史を楽しみやすくなるだろう。

幸いにして、「日本史」を楽しく学べる良書はたくさんある。

この記事では、ざっと日本史全体の流れを学べる「通史」を扱った本を主に紹介していく。

「通史」本は、読むほどに知識が定着していくので、色んな種類のものを読んでも損にはならない。

 

山川 詳説日本史図録 第7版

著者 :詳説日本史図録編集委員会
出版社:山川出版社
発売日:2017年2月3日(第7版)

日本史を勉強したいという人は、もし持っていないのであれば、「資料集」を手元に置いておきたい。

最初から最後まで読み通そうとする必要はない。事あるごとに眺めたり、他の「日本史本」を読んでいる途中に、同じ時代のページをなんとなく開いておくだけでもいい。

資料集があると、彩りが豊かなページを開いておくだけでも楽しい気分になるし、勉強のモチベーションを保ち安くなる。知識の補強もしやすく、あって困ることはない。

高校の授業で使われることもある日本史の資料集だが、めちゃくちゃ豪華な上に、めちゃくちゃ安い!

なんと、1000円もしない。他のジャンルの同じクオリティのものだと、この5倍から10倍の値段はするのではないだろうか。

資料集のコスパの良さは、ちょっと頭がおかしいレベル!

このクオリティでこの価格のものが普通に買えるというのは、日本の教育界の至宝と言っても過言ではない。

日本史を勉強したことがある人ならわかると思うが、資料集を傍らに置いておくのと置かないのとでは、勉強の捗り方が違う。

また、単純にページをパラパラとめくっているだけでも楽しいものである。趣味や道楽で日本史を勉強したり、歴史モノの小説を読んだりする人でも、資料集を持っておいて決して損はしない。

 

もういちど読む山川日本史

著者 :五味文彦 、鳥海靖
出版社:山川出版社
発売日:2009年9月1日

「山川出版社」は、「地歴公民」の教科書において、圧倒的なブランド力のある出版社で、高校の「日本史」では山川の教科書を使っていたところが多いだろう。

山川が、日本史の学び直しをしたくなった社会人のために出したのが、本書「もう一度読む山川日本史」だ。

内容の確かさに関しては抜かりないが、教科書の記述よりはややくだけて、「普通に読み通しやすい書き方」になっている。

受験の知識などを身につける必要がなく、教養として歴史を身に着けたい人は、教科書よりも本書のほうが読みやすいと思う。

噛み砕いて説明する良書はたくさんあるが、「ちゃんとした記述」を心がけている教科書的な本も一冊持っていたほうが、ちゃんと勉強しやすい。

なお、本書の出版から約8年後に『新 もういちど読む 山川日本史』が出版されているが、古い方が値段が安いし、内容の良さを考えても、新しいほうを買うメリットはそれほどないかもしれない。

 

ストーリーで学び直す大人の日本史講義 古代から平成まで一気にわかる

著者 :野島博之
出版社:祥伝社
発売日:2018年4月1日

「通史がスッキリわかる」系の日本史本の中でも、非常に面白く読めるのが本書。

東大の文学部で日本史を専攻し、予備校教師を長年続けて「カリスマ講師」として名を馳せた著者による、渾身の一冊。

「教科書的な事実の羅列」や「人物名や年号の暗記」ではなく、興味深いストーリー形式で、各時代の大まかな流れと特徴を説明する。

話の運びがめちゃくちゃ上手で、興味深く、理解しやすくなる要点が押さえられている。長年教え続けて人気を博してきた講師の、実力を伺わせるような構成と内容。

「歴史の面白さ」と「知的興奮」が一緒になった、とても面白い読み物だ。

主要な出来事をしっかり勉強できる上に、「歴史の面白さ」に触れることができる。

社会人から日本史を学びなおしたい人向けの「通史」として、真っ先におすすめできる一冊。

 

いっきに学び直す日本史

著者 :安藤達朗
編集 :佐藤優
監修 :山岸良二
出版社:東洋経済新報社
発売日:2016年7月1日

グイグイ読み進められる力強さを持ちながら、圧倒的な内容の充実度を誇る日本史「通史」の本。

『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』と『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』の2冊があるが、Kindle版のみ【合併版】もある。

「ビジネスや社交に必要な教養」をベースとして、豪快に日本史を語る、まさに社会人向けの日本史。

ストーリー重視というわけではなく、わりと細かいところまでしっかりと語っていて、教養主義的な匂いもする。

分量がスゴいので、頭から読み通すのではなく、気になった時代から読む、という読み方でもいいと思う。

「世界史」を意識した上での「日本史」の記述になっていて、日本史にそこそこ詳しい人の読書にも堪えるほどの熱量で書かれている。

これ一冊読めば、日本史に詳しくなれるくらいの、重々しい日本史の本だ。

 

世界史とつなげて学べ 超日本史

著者 :茂木誠
出版社:KADOKAWA
発売日:2018年2月16日

予備校で世界史を教えていて、世界史関連の本を複数出版している著者が、「世界史の中での日本史」をレクチャーする。

面白い、興味深いエピソードが満載で、スラスラ読める。

同時期の他の国と比較検討しながら、「日本とはどういう国なのか?」を捉え直す視点が得られ、大人の教養をしっかり得られる。

他の「通史」本と合わせて読むことで、より面白さが倍増する内容と言える。

「教科書が教えない歴史」とのことだが、「日本史」と「世界史」というカテゴリー分けの間で漏れてしまった重要かつ面白いエピソードが複数語られている。

歴史好きにも、教養として歴史を学びたい人にも、歴史への興味を育てたい人にも、色んな人におすすめしたい良書。

 

やりなおし高校日本史 (ちくま新書)

著者 :野澤道生
出版社:筑摩書房
発売日:2018年2月10日

中学の「歴史」や高校の「日本史」というのは、「暗記科目」というイメージがどうしても強い。しかし、教科書にまとめられている「日本史」は、様々な苦労と工夫によって、これまでの日本の歴史がまとめられた珠玉のテキストである。

本書は、日本史を扱った新書だが、様々なエピソードを取り上げて、「日本史の面白さ」を読者に教える。

「高校で教えられる日本史」に焦点を合わせた、副読本のようなテキストで、新たな発見により歴史の解釈が代わり、教科書の内容が変更されていくことの面白さに比重を置いている。

歴史が苦手な人が一から理解する入門書としてはやや微妙だが、高校のときに日本史が好きだった人の振り返りとしては最高の一冊。

教科書的な内容に寄り添った、日本史の面白さを深める新書だ。

 

NHKさかのぼり日本史

著者 :五百旗頭真(第1巻)
出版社:NHK出版
発売日:2011年7月30(第1巻)

「現代」から時代を遡って日本史を学んでいこうとする、なかなか面白い試み。

普通、日本史を「通史」として学ぼうとする人は、「古代」から「現代」まで順番に学んでいく。

NHKの『さかのぼり日本史』は、逆順……つまり「現代」から「古代」まで、時間を遡って学んでいくのだ。

普通に通史を学ぶより、違った視点で歴史を眺めることができるし、「視点」を少し変えることによって、歴史から本当にたくさんのものが見えてくることを実感できる。

「さかのぼる」ことによって、歴史のターニングポイントがしっかり見えてくる。

比重としては、古代よりも、「現代から近代」までにウェイトが置かれている。

かなり良いテキストだが、巻数が多めで、全部揃えると値段がやや高くなってしまうのが難点かもしれない。(1巻あたり1,000円程度で、全10巻。)

ただ、それぞれの時代ごとに著者が違い、資料が豊富で、専門性が重視されている上に視点が面白い。

間違いなくNHKの良コンテンツの一つと言えるし、歴史好きな人ほど楽しく読めると思う。

 

歴史をつかむ技法 (新潮新書)

著者 :山本博文
出版社:新潮社
発売日:2013年10月17

タイトルには「日本史」とないが、日本史を大まかにかい摘みながら、「歴史の考え方」をレクチャーする。

単なる知識ではなく、「そもそも歴史を考えるとはどういうことなのか?」という「技法」を学ぶ。

学術的な手法や、「歴史」になるまでの編集方法を学ぶことによって、より根底的なレイヤーから、「歴史」という事象を捉え、考察することができる。

歴史を捉えるにあたって、「暗記」ではなく「理解」を重要視する人におすすめしたい内容。

「知識」は時間が経つとすぐに忘れてしまうかもしれないが、「考え方」は長く自分の中に残るし、他の分野の発想や思考の手助けをしてくれることもある。

教養として歴史を身につける上で、読んで損はない一冊。

 

日本の歴史をよみなおす

著者 :網野善彦
出版社:筑摩書房
発売日:2005年7月6

「網野善彦」は、説明するまでもない、日本を代表する日本の歴史学者。

司馬遼太郎を読むくらいなら、網野善彦の著作を片っ端から読んでおいたほうが絶対に良い!

「日本人なら網野善彦を読め!」と言いたくなる。

知的強度はかなり高めなので、ある程度は日本史を勉強してから読んだほうが良い。

単なる解説本ではなく、歴史を考えるということの感動を味わえる本だ。

「中世史」の専門家なので、著書のウェイトも中世が多め。

もっとやる気のある人は、網野善彦の通史である『日本社会の歴史(岩波書店)』に手を出してみてもいいかもしれない。

上、中、下とあって、読み通すには骨が折れるだろうが、高校の日本史のレベルを遥かに超えた、一流の知性に触れながら日本史を俯瞰することができる。

 

 

本の紹介は以上になる。

蛇足になるかもしれないが、最近は教育系のユーチューブ動画で良質なものがけっこうある。

日本史を学びたいのであれば、中田敦彦の「エクストリーム授業!日本史編」が面白い。

日本史を学ぶ前に、動画を一通り見ておけば、より理解しやすくなると思う。

なお、中田敦彦の日本史動画に関しては、河合敦の『早わかり日本史』を参考にしているそうだ。

『中田敦彦のYouTube大学』が感動するレベルですごい!おすすめ動画&書籍を紹介!

2019.06.17

 

なお、当ブログでは、歴史に限らない、あらゆるジャンルの教養を身につけるための「おすすめ本ランキング」も執筆しているので、この記事が参考になったという方は、ぜひ以下の記事も読んでいってほしい。

おすすめの本ランキング!教養で差をつける書籍(新書・学術書・ビジネス書)を紹介

2018.12.30

 

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