自分は、最近はYouTubeばっかり見ている気がする。
「おすすめのYouTubeチャンネルランキング」みたいな記事を書いてるくらいだ。
そんな中、『ユーチューバーが消滅する未来』という本が気になって、買って読んでみた。
著者は「岡田斗司夫」で、本人もYouTubeのチャンネル登録者が10万人を突破している大手ユーチューバーだ。
自分も良くチャンネルを見ている、めちゃくちゃトーク力のある人。
そんな岡田斗司夫が、「10年後にユーチューバーが消滅する」と言ってるのだから、ユーチューバー大好きおじさんの自分としては読まないわけにはいかなかった。
今回は、岡田斗司夫『ユーチューバ―が消滅する未来 2028年の世界を見抜く』について、要約を述べてから、レビュー(感想)を言いたいと思う。
価値観の変化に着目
岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来』は、2018年の執筆時点から、10年後の2028年に、日本がどのようになっているのか大予想した本だ。
まず著者は、具体的な産業の変化というよりは、「価値観の変化」に着目している。
著者によると、
- 「第一印象至上主義」
- 「考えるより探す」
- 「中間はいらない」
という「価値観の変化」が起こるそうだ。
プレイヤーが膨大になり過ぎて、その人の特徴を深く考えるのではなく、「第一印象」でしか判断をされなく(判断できなく)なり、考えるよりも探して見つけることに比重が置かれる。また、中間(そこそこできる程度)だと見向きもされなくなる。
人間がますます軽薄になり、格差が開いていく未来を予想している。
なぜユーチューバーが消滅するのか?
様々な話題を取り扱っている本だが、本のタイトルにもなっているし、ユーチューバーの話題がメインディッシュに当たる部分だから、ここをしっかり要約したい。
著者は、10年後には「今人気のユーチューバーはほとんど姿を消している」と言う。それはなぜなのか?
まず、オールドメディアである「新聞、ラジオ、テレビ」に対して、対応するネットメディアが「ブログ、Twitter、YouTube」で、YouTubeによってメディアの需要はほぼ満たされたと言う。
YouTubeは、テレビの進化型なので、じっくり考えるのではなく、「頭をオフにして楽しめるコンテンツ」の役割を担うことになる。
チャンネルを回して、何か面白そうなものがあればボーッと見るのがテレビだが、YouTubeもメディアとして似たような役割を果たす。
そのようなYouTube市場において、「今人気のユーチューバーはほとんど姿を消している」と言うが、
- アイドルや芸人の参入
- 翻訳技術が進化してグローバル競争に巻き込まれる
- AIユーチューバーに淘汰される
が主な理由。
岡田斗司夫は、これから2、3年のうちに、アイドルや芸人がユーチューバー市場に参入するようになる、と述べているが、これはその通りになっているかもしれない。1年後の2019年には、人気芸人の「中田敦彦」がYouTubeに参入し、最速で登録者100万人突破などの快挙を果たした。
次に、翻訳技術が進化して「10年後には一部の人を除いて外国語を勉強する必要なんてなくなるんじゃないでしょうか」と岡田斗司夫は言う。そして、日本のユーチューバーは、海外のユーチューバーとの競争に放り込まれることになる。
そして最後に、バーチャルユーチューバーどころか、AIユーチューバーが誕生し、生身の人間は人工知能にコンテンツ力で勝つことができなくなるという。ニコニコ動画でも過去ログをわざわざ見る人がそれほど多くないように、人間は過去のコンテンツよりも最新のコンテンツに興味を持つ傾向がある。そして、YouTubeのようなテレビ的なメディアにおいては、「その時点での「今」をいかにうまく提供できるか」が鍵を握る。AIユーチューバーは常にコンテンツを量産し続けられるので、生身の人間ではAIユーチューバーに太刀打ちできない。
というような理屈によって、「今人気のユーチューバーはほとんど姿を消している」らしい。
この予想が当たるかどうかはもちろんわからない。ヒカキンやはじめしゃちょー、フィッシャーズ、ヒカル、ラファエルなどは、10年後生き残っているだろうか?
「生身のユーチューバーよりAIユーチューバーのほうが強い」というのは、なかなか珍しく、面白い予想だと思う。
ただ、「別にユーチューバー自体は消滅しないじゃねーか!」と文句を言いたくなる。『(今の)ユーチューバーが消滅する未来』ということで、ややタイトル詐欺なのではないかとも思う。
乱世で大事なのは、とにかく生き抜くこと
他にも、
- アイドルが貴族になる
- アマゾンが不動産を取り扱うようになる
- 空飛ぶ車が僕たちの家になる
など、様々な話をしている。
気になる人は実際に本を買って読んでみよう。
わりと取り留めのない断片的な話が続くのだが、「今の時代は乱世である」という主張は、なんとなく共通しているように思う。
「乱世で大事なのは、とにかく生き抜くこと」と岡田斗司夫は言っている。
全体的に、従来の価値観がぶっ壊されていくような、恐ろしい未来が描かれているように思えるけど、それと同時に岡田斗司夫は「未来は面白がった者勝ち」という楽観を説く。
岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来』の正直なレビュー
断片的な話の寄せ集めで、ニコニコ生放送(YouTubeのトーク)を聞いてる感覚に近い書籍だと思った。
正直な感想を言うと、文字にして読むとちょっと底の浅さが見えるというか、逆説的にトーク力のスゴさがわかる。
それほど力を入れて書いた、厳密な書籍ではないと思う。
以前しゃべったことを寄せ集めて、気軽な感じで自分の考えを本にしているのだと思った。「本という媒体」をあまり重視してない感が見える。
面白く読めたし、悪い本ではないと思うけど、特におすすめできるかと言えばそうでもない。
岡田斗司夫『ユーチューバ―が消滅する未来 2028年の世界を見抜く』の要約&レビューは以上。
当ブログでは、「おすすめの書籍ランキング」や「おすすめの小説ランキング」の記事も書いているので、よかったら以下も見ていってほしい!
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