ベーシックインカムを学ぶためのおすすめ本を紹介【日本で実現可能?】

「ベーシックインカム」を学ぶためのおすすめ本を紹介したい。

ベーシックインカムは、定義にも色々あるが、無条件に一定額のお金を給付する政策のことを言う。

かくいう自分は、ベーシックインカム肯定派だ。色んな行き詰まりのある政治と経済の中で、ベーシックインカムは可能性を持っている制度だと思う。

ベーシックインカムには、様々な論点があり、肯定的な意見もあれば否定的な意見もある。

今回は、自分が読んできたベーシックインカム本の中で、特におすすめしたいものを厳選して紹介する。ベーシックインカムについて学びたい人は参考にしてみてほしい。

ベーシック・インカム入門

著者 :山森亮
出版社:光文社
発売日:2009年2月17日

もはや10年以上前の書籍になるが、専門知識のある著者が、ベーシックインカムについて解説した一般向けの入門書。

ベーシックインカムについては、今や様々な人が様々なことを語っているが、新書でありながらも、かなりしっかりした内容になっている。思想史を踏まえて、どのような文脈で「ベーシックインカム」が持ち上がり、今注目を浴びているのかがわかる。

知的強度が高く、様々な思想家を牽引した上で、本格的に「ベーシックインカム」の意義を検討している。

日本人の著作で、ベーシックインカムを体系的に学べる入門書として文句なしのクオリティなので、最初に読んでおきたい一冊。

 

AI時代の新・ベーシックインカム論

著者 :井上智洋
出版社:光文社
発売日:2018年4月17日

「AI(人工知能)」と「BI」は、海外ではセットで語られることが非常に多いテーマだ。

著者の「井上智洋」は、人工知能と経済の関わりを専門的に研究している経済学者で、ベーシックインカムを提唱する書籍をいくつも出版している。

AIは生産性を上げていくが、社会保障制度が改革されないままAIだけが進歩していけば、仕事を奪われて途方に暮れる人ばかりになり、逆にディストピアになってしまう。しかし、BIを導入することで、ユートピアを実現することも可能だ。

本書は、初心者にとって親切かつ、具体的な内容が多く、「銀行中心の貨幣制度がいかに問題なのか」など、多くの面白い視点を提供してくれる。

知的興奮に溢れ、読んでいて面白く、現実的な社会改革の提言にもなっている。

これからの未来におけるBIを考えるうえで、おすすめできる一冊。

 

働かざるもの、飢えるべからず。

著者 :小飼弾
出版社:サンガ
発売日:2009年11月26日

日本人が書いたBI本と言えば、本書をイメージする人も多いかもしれない。(ていうか、自分が「BIって良くない?」と思ったのはこの本がキッカケなので、紹介しておく)

アルファブロガーとしてカリスマ的な人気を博していた小飼弾が、ベーシックインカムを日本に紹介した書籍。

仏教色の強い出版社から発売されていて、仏教のお偉いさんみたいな方との対談もある。

「相続税100%にしてBIを実現しろ」という極端な主張だが、グイグイ読み進めてしまえる面白さがある。「人間は、なにも作っていない」などの、ブロガーらしい極端さで話が展開されていく。

極端ではあるが、「頭のいい人だな」と読んでいて感心する。

本のクオリティや、内容の深さに関しては、ここで紹介している他のBI解説本と比べてだいぶ劣るが、日本のおけるBI認知の普及に一役買った本であることは間違いない。

 

ベーシック・インカム – 国家は貧困問題を解決できるか

著者 :原田泰
出版社:中央公論新社
発売日:2015年2月24日

数多くの経済本を出版している人気エコノミストによる、ベーシックインカムの解説本。

シンプルに論点が整理されている。

「目新しい」という感じはしないものの、それだけに堅実な内容。

哲学や思想しを含めて幅広い論点が提示される一方で、具体的な財源や、メリットとデメリットなどにもしっかり比重が置かれていて、勉強になった。

BIは、手放しで称賛できるわけではないものの、やはりメリットが上回る制度であるように思う。

 

ベーシックインカムへの道 ―正義・自由・安全の社会インフラを実現させるには

著者 :ガイ・スタンディング
翻訳 :池村千秋
出版社:プレジデント社
発売日:2018年2月10日

世界的にベーシックインカムを普及させようと活動している「ガイ・スタンディング」教授による、BIの解説本。

長い書籍だが、BIに対する賛成論や反対論が一通り紹介されていて、本格的に勉強するなら手に取りたい。「ベーシックインカムはすごい制度だぞ!」というところに留まらず、反対派の意見もしっかり検証している。

国際的なベーシックインカムの潮流と、実現への歩みが俯瞰できる。

実験のための具体的な方法なども解説されていて、実現性の面で言えば、日本よりも海外のほうが進んでいることがわかる。

 

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

著者 :ルトガー・ブレグマン
翻訳 :野中香方子
出版社:文藝春秋
発売日:2017年5月25日

オランダの若き天才で、「ピケティに次ぐ欧州の知性」とも言われるルトガー・ブレグマンの著書。

「ピケティに次ぐ欧州の知性」は流石に言い過ぎとも思うが、世界的に大きな影響力を持っている本であることは間違いない。

AIの驚異に対するBIの解説本としては、けっこうオーソドックスな印象もあるが、文章に知性と教養が溢れていて、やはりスゴいな、と思う。

内容には説得力があり、世界的がAIによって変革を迫られ、BIが導入されていくかもしれない、大きなうねりを感じさせる一冊。

 

以上、ベーシックインカムを学ぶためのおすすめ本を紹介してきた。

ここで紹介してきた本の中で、日本人が書いた新書は、手頃な価格だしよくまとまっていて、日本の具体的な事例や制度に言及されている。ただ、世界的な潮流を知りたいのであれば、翻訳書を読むべきだと思う。

個人的にはBIは良い制度だと思うけど、日本で実現しそうな感じはあまりしない。

海外のどこかの国で実現されて、日本が倣うことになるのだろうか。

働き過ぎな日本人にこそ、ベーシックインカムのような制度が必要だとは思うのだけどね。

 

当ブログでは、「経済」や「政治」に関するおすすめ本なども書いているので、よかったら以下の記事も参考にしていってほしい。

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