「食」に関するエッセイのおすすめ本を紹介【料理・随筆・グルメレポート】

「食」を扱う随筆、「グルメエッセイ」のおすすめ本を紹介したい。

自分は「食」が大好きで、YouTubeやNetflixで動画もよく見るのだが、本もけっこう読んでいる。

文章で読むと、時代を超えた視点が得られるし、それによって普段食べてるものもより深く美味しく味わえるようにもなるので、なかなか良いことだと思う。

今回は、今まで読んできた「食」に関するエッセイの中でも、特におすすめできるものを紹介していく。

美味礼讃

著者 :ブリア・サヴァラン
翻訳 :関根秀雄、戸部松実
出版社:岩波書店
発売日:1967年8月16日

「グルメエッセイ」と言われて真っ先に名前が挙がるのが、本書『美味礼讃(びみらいさん)』だろう。

自分が「食通」に憧れるキッカケになったのが本書だ!

ブリア・サヴァランは、いわゆる「美食家」という人種。様々な教養に通じていて、食べることに「美意識」と「哲学」を見出す。

「食にこだわる人間」というのは、キリスト教的な倫理観で「卑しいもの」とされていたが、このエッセイの影響で、「食通」がある種の権威を手にすることになった。食が好きな人達にとって、偉大な著書なのだ。

古い本ではあるが、「食べること」と「生活すること」の話なので、誰にでもわかるし、普通に読みやすい。

 

貧乏サヴァラン

著者 :森茉莉
出版社:筑摩書房
発売日:1998年1月1日

著者の「森茉莉」は、文豪「森鴎外」の娘であり、文才を受け継ぎ、50歳を超えてからエッセイストとして活躍した。すでに十分過ぎるほど評価されている彼女だが、実際に読んでみると、本当に素晴らしい書き手であることがわかる。

「ブリア・サヴァラン」を意識したタイトルだが、サヴァランのように豪勢ではなく、日々のささやかな食卓に楽しみと美しさを見出す。

いわゆる「丁寧な暮らし」というやつで、このような感性は、今の時代にこそ求められているものだと思う。

細々とした日々の食と生活に賭ける、こだわりと美意識が詰まった食エッセイの名作。

作中に出てきたものをことごとく食べたくなってしまう、「文章の飯テロ」だ!

 

御馳走帖

著者 :内田百閒
出版社:中央公論新社
発売日:1996年9月18日

著者の「内田百閒」は、夏目漱石門下の小説家・随筆家で、『阿房列車』という紀行文みたいな小説が知られているかもしれない。

だが、もっとも読まれているのはフードエッセイである『御馳走帖』だろう。

戦前から戦中を描く随筆で、苦しい時代だからこそ「食」のありがたさが伝わってくる。

ライスカレーやアイスクリームを食べたときの感動など、現代人はなかなか感じにくいかもしれないが、随筆を読むことでそれを追体験することができる。

日頃の食に対する見方や感謝の仕方も変わってくるかもしれない。

 

食通知つたかぶり

著者 :丸谷才一
出版社:中央公論新社
発売日:2010年2月1日

「やはり美食家というものは、教養があって文章がうまくなければな」と思う。

日本人の美食家で真っ先に思い浮かぶひとりは、「丸谷才一」先生だ。

「保守派の文人」という感じがしてとても良い、味のある文章。

お高いお店から、庶民派の店まで、食べて呑み、語る。

70年代くらいの食文化の雰囲気が伝わってくる文章で、時代を超えて魅力が伝わってくる。やはり文章は文章ならではの良さがある。

人は選ぶかもしれないが、短いし、本の値段も安いので、読んでみてほしい。

 

食客旅行

著者 :玉村豊男
出版社:中央公論新社
発売日:1996年9月18日

「玉村豊男」は、現代に生きる日本随一の食通だと思う。様々な国に行き、様々なものを食べ歩く。

文章がうまく、教養もあるので、臨場感たっぷりに、珍しい美食の数々を追体験できるし、勉強にもなる。

玉村豊男は、『料理の四面体』などの食を分析する本も出しているが、エッセイ風に書くものも面白い。

 

生まれた時からアルデンテ

著者 :平野紗季子
出版社:平凡社
発売日:2014年4月24日

著者は、1991年生まれの女性で、平成生まれがリアルタイムで体験してきた食文化を綴っている。

感性が瑞々しく、切り取り方が斬新で、自分はかなり面白く読めた。「食」というのは世代の違いが大きく出るものだな、と。あるいは、階層の違いも出るのかもしれない。著者はおそらく、いいとこのお嬢さんだろう。

Amazonレビューなどを見ると悪い評価が多く、若くて顔の良い女性が推されていることに対するやっかみもありそうだ。森茉莉とかそういうレベルと比べるのは流石に酷というか、フェアでもないだろう。

鼻につくようなところもなくはないが、新鮮な視線を提供していて、読む価値のある食エッセイだと思う。次回作が出るなら読みたい。

 

「食に関するエッセイ」のおすすめ本は以上。

テレビやNetflixのグルメ番組もいいけど、写真すらない文章で「食」や「料理」を感じてみるのも、なかなか良いものだと思うよ。

 

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