フロムソフトウェアの新作『隻狼(SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE)』をやっと全クリできたので、レビュー記事(ゲームの評価&感想)を書いていきたいと思う。
あくまでレビュー記事なので、ネタバレに配慮して、攻略情報やストーリーに関しては書かない。
- SEKIROってどんなゲームか知りたい
- 面白そうだけど買おうかどうか迷ってる
- 他のプレイヤーのクリア後の感想を知りたい
という人にとっては有益な内容だと思う。逆に、攻略のヒントを探している人は他のサイトを見たほうがいい。
ちなみに、自分は『デモンズソウル』や『ダークソウル』など、超高難易度で知られるフロムソフトウェアの「ソウルシリーズ」をすべてクリアしている。
それについて書いたレビューが気になる人は以下の記事も読んでみて欲しい。
それでは、『SEKIRO』のレビューを述べていく。
目次
SEKIROの率直な感想
めちゃくちゃ難しい!
もちろん、やる前から高難易度のゲームであることは予想していたが、想定をはるかに上回る難しさだった!
ソウルシリーズをでマゾゲーには慣れていたつもりだが、それでもめっちゃ難しく感じた。
高難易度アクションがかなり好きなつもりだったのだが、そんな自分でも、けっこうストレスを感じるレベルの鬼畜ゲーだった!
実際に何度か心が折れそうになったが、しかしそれゆえに、クリア後の満足感はとても大きかった!
他の人のツイッターのつぶやきとかレビュー記事などでも「難しい」という感想が多いが、本当に難しい。
一般人向けのコンシューマーゲームとして出していい難易度を大きく超えていると思う。
激辛料理と同じような感じで、ハードゲーマー以外には絶対におすすめできない。
一言で言うとどんなゲーム?

「すごく難しいけど成長を実感できるゲーム」って感じ。
全体的なゲームデザインの印象として、「プレイヤー自身が成長すること」が重視されているように思える。
「この強敵を真っ向から倒さなければならない!」、という場面が多く、一応アクションRPGではあるものの、レベル上げなどで解決することはあんまりできない。
コツコツとレベリングして操作キャラクターを成長させるのではなく、何度もチャレンジして操作するあなた自身が成長しなければならないのだ。
オンライン要素もなく、完全に一人でゲームの世界と向き合わなければならない。
かなりストイックなアクションゲームと言える。
なぜこんなに難しく感じるのか?

『ダークソウル』などの過去のフロムゲーと比較しても、より難しく感じる難易度だ。
ソウルシリーズに関しては、前作の経験者であれば、共通点も多かったことから、わりとラクにこなせる部分があったのかもしれない。
一方で、『SEKIRO』の操作性やバトルシステムは完全にオリジナルな新作で、それゆえに、慣れるまで苦労するというのはあるかもしれない。しかしそれを加味してもなお、SEKIROは超難しい。
初見かどうか、得意なタイプのゲームかどうかを抜きにして、純粋に敵が強くて難しい!
動きが早いし、多用な攻撃をしてくるので、タイミングの良さと状況判断の的確さが求められる。
ただ、難しいけれど、難しいことによるストレスは少なくなっている。というのは、「鬼仏(ダクソで言う篝火)」というセーブポイントが非常に多く、ボスにやられても、すぐに挑戦しやすくなっている。
前作のダークソウルは、ボスに破れた場合、またある程度戻されたところからステージを進まないといけない場合が多かったが、それと比較して、SEKIROは破れてもテンポ良く再チャレンジしやすい感じ。
「死ぬのは前提だから、何度もチャレンジして、勝てるまでやれ!」とフロムが要求してくる。
これが地獄であるかご褒美であるかはプレイヤー次第だ。
ゲームシステムは、リズムゲー、格ゲーっぽさがある

SEKIROには、「体力」という概念もあるのだが、「忍殺」という要素があり、コツコツHPを削っていくのではなく、忍殺という大ダメージを与える方法を狙っていくのが、基本的な戦い方になる。
敵の「体幹」を削っていって、忍殺で大ダメージというのが主要なパターン。
ソウルシリーズで例えるなら、「パリィからの致命の一撃」や「バックスタブ」が、標準的に求められるような感じだ。(「パリィ」に比べれば、タイミングの猶予はだいぶ緩いが。)
個人的には、最初はこの「忍殺」というシステムに息苦しさを感じた(普通に体力性でいいじゃないかと思った)のだけど、途中からは慣れた。これによって緊張感のある奥深い戦闘が可能になるし、斬新かつ合理的なゲームシステムだと思う。
ソウルシリーズ的なアクションゲームの要素はもちろん、タイミングが要求されるリズムゲーの要素、択を迫られたあとに最適な判断が求められる格ゲーの要素も加わって、最高峰のアクションゲームとなっている。
過去のあらゆるゲームと比較しても、これほどクオリティの高いアクションゲームは見つからないと思う。
「高難易度の死にゲー」だからこそ可能になる、本気で極限の戦闘を味わえる。
「手に汗握るゲームをやりたい!」という気持ちを持っているなら、本作をやらないのはもったいない。
救済措置が少なく、戦いから逃れられない!

セーブポイントが多く、リトライしやすいので、道中の煩わしさというのはあまり感じない。
一方で、「救済措置」的な要素が少なく、「目の前の敵を実力で倒さなければならない!」という状況から逃れられない。それが「SEKIRO」というゲームのテーマのようなものなのかもしれない。「忍者」というよりは「サムライ」って感じだ!
一応スキルポイントなどは稼げるものの、レベル上げをあまりできず、「自分が上達するしかない」。
HPや攻撃力がアップするアイテムの入手が可能なのは、ボスを倒した後のみであり、「ボスを倒すためにレベル上げ」は不可能なのだ。その意味では、アクションRPGっぽさはあまりなく、純粋なアクションゲーム要素が非常に強い。(成長要素はあるのだが、それによって大きく楽になるわけではなく、プレイヤースキルの比重がかなり高い。)
ソウルシリーズの場合、ボスに勝てなければ、他のフィールドを探索して武器を探したり、ソウルを貯めてレベルを上げたりという「逃げ」が可能だった。
一方でSEKIROは、そういう「逃げ」がまったくできないわけではないが、基本的にあまり選択肢はなく、何度も挑み続けて自分が成長しなければならない。(一本道ではないので、別のボスに向かうということもできるが、結局のところどれも強敵。)
また、完全に一人プレイ用ゲームで、「オンライン協力プレイ」というある意味ではソウルシリーズの根幹とも言えた救済要素が一切なくなっている。
システム的な救済がなく、「ゲームが下手で怠惰なやつはお呼びじゃねー!」っていう雰囲気。マジでそれくらい厳しい。
ただ、ボスには弱点がある。ボスの動きや外見をしっかり観察したり、道中を探索したり、盗み聞きをして会話の意味をよく考えたりすることで、攻略の糸口を掴めることがある。(弱点をついても強敵であることに変わりはないが。)
本当に難しいのだが、全力でゲームに挑める人であれば、理不尽な鬼畜難易度ゲームではなく、惚れ惚れするほど丁寧に作られていることがわかるだろう。
道中は走り抜けやすい

ソウルシリーズは、ボスにたどり着くまでの「道中」が主な難しさを構成していたが、SEKIROは「強敵」に焦点を当てているので、道中はそれほど難しくない。
ステルス要素も強いゲームなので、出てくる敵は、スルーしようと思えばけっこう簡単にスルーできる。ワイヤーアクションもできるので、爽快にステージを駆け回りやすい。(ダクソで言う「走り抜け」が簡単になった。)
ただ、道中には、ボスを倒すための重要なヒントが隠されている場合も多く、「どうしても勝てねえ〜」となってから、来た道を戻って探索し始めることになる場合もけっこうある。
ここらへんは好みが別れるところで、ソウルシリーズっぽさを期待している人からすれば、やや不満に思うかもしれない。
オープンワールドっぽさもあるが、個人的には、フィールドの探索性・開放性はイマイチだと感じた。AIの頭があんまり良くないので、オープンワールドがマイナスに働いている印象。戦闘の完成度は高いが、マップの完成度は正直イマイチだと思う。
アクションの楽しさと上達の喜びを味わえるゲーム性

SEKIROの一番の魅力は、やはり、フロムソフトウェアだからこそ可能な、非常に綿密で丁寧な難易度調整だ。
超ド級にめちゃくちゃ難しいのだけど、むやみやたらに難しいのではなく、楽しさと感動が詰まった、考えつくされた高難易度になっている。
言うなれば、「ラーメン二郎の伝統に裏打ちされた特盛」や「蒙古タンメン中本の旨味が凝縮された激辛」と同じような、「癖になる激ムズ」なのだ。
マジでやってて思うのだが、これほど自分の成長を実感できるゲームは他にないかもしれない!
「似たような敵の使い回し」という批判レビューもあるが、むしろ、似たような場面を絶妙に混ぜながら、だんだん戦闘が複雑で高度になっている、とても優れた調整力だと感じた。
いつのまにかプレイスキルが上達していて、ラスボスを倒した今となると、最初のほうの敵なんてとても簡単に倒すことができるようになっている。キャラが強くなったのではなく、自分自身が強くなったのだ。
これほど自分の成長を感じさせてくれるゲームは他にないし、綿密な調整の末に可能になった、とても上質なゲーム体験だと思う。
難しいけれど、理不尽ではない。フロムだからこそ作れるクオリティの高さだと思う。
世界観はまさに芸術だが人を選ぶ
日本の戦国時代とダークファンタジーを掛け合わせた世界観は圧巻。
百聞は一見に如かず、トレーラーを見れば、そのスゴさを誰もが理解できるだろう。
ただし、かなり人を選ぶ陰鬱な世界観だ。
ストーリーも暗いし、登場人物も大人しくて陰気だし、明るさというものがまるでない。
設定も追い打ちをかけるように陰鬱。死にゲーでありながら、主人公がたくさん死ぬと「竜垓」という病が蔓延して助けてくれるNPCが苦しみだすとか、「どんだけ暗いんだよ!」って言いたくなるほど暗い。まさにマゾゲー。
心の強い人でないと楽しめないだろう。
SEKIROの良かったところ
個人的に良かったと思ったところをリストアップしていく。
- 圧倒的な高難易度なのに、理不尽さがない
- スピーディーで爽快感のある操作性
- 全力で試行錯誤する余地がある戦闘アクションの究極系
- 戦闘の醍醐味を味わえる極限のゲーム体験
- 癖になる達成感がもたらす、プレイヤーの上達とゲームの中毒性の両立
- ソウルシリーズとは良い意味で別物
- 磨き上げられた陰鬱さによるオリジナリティのある世界観
- オンライン要素がなく、一人プレイでじっくりゲームと向き合うので、遊ぶタイミングを選ばない
挙げきれないくらいだが、他にもプレイヤーによって色々な魅力を見出すことができると思う。最先端の技術と調整力によって生み出された大作アクションだ。
強く人を選ぶけれど、神ゲーであることは間違いないと思う。ピッタリハマる人にとっては、これ以上無い名作の位置を占めてもまったく不思議ではない。
SEKIROの悪かったところ
逆に、悪かったと思ったところをリストアップしていく。
- めちゃくちゃ難しいし何度もゲームオーバーになるので、短時間でスカッと楽しむのは難しい
- 忍殺というシステムがややとっつきにくい
- スピードが早く、カメラワークがやや心許ない
- レベル上げ要素があまりなく、プレイが単調で息が詰まる
- 世界観が陰鬱
- 戦闘は面白いが、リズムゲーや格ゲーっぽく感じてやや萎えることも
- 一周目は神バランスに感じたが、周回プレイをすると、ひたすらミスせずに集中力を維持できるかの消耗戦になる
強いて言えうなら、以上の様な要素が、個人的にはマイナスだと感じた。
しかし、「自由度が少なめで息が詰まる」というのは、SEKIROというゲームの重要な特徴であり、ゲームの個性と切り離せないものである。
短所といっても、それは長所と切り離せないからこそ実装されているのだ。
非常に考えて作られているゲームであることは間違いなく、クオリティの低さにガッカリさせられることはまずないので、少なくとも、ゲームの完成度に関しては安心して購入できると思う。
こんな人におすすめ!
- 高難易度アクションゲームが得意
- フロムソフトウェアの過去作品が好き
- プレイスキルを向上させるのが好き
- 試行錯誤が好き
- 考えることが好き
- 手に汗握る戦闘を楽しみたい
- 全力でゲームを遊びたい
こんな人におすすめできない!
- アクションゲームが苦手
- 高難易度ゲームが苦手
- 何度もゲームオーバーになってやり直したくない
- RPGっぽい要素を重視する
- マップの開放感やクオリティを重視する
- 明るい雰囲気のゲームが好き
まとめ
正直な感想を述べたが、あくまで自分がプレイして思ったことなので、まったく違った意見を持つ人もいると思う。それを否定するつもりはない。
個人的には、『SEKIRO』は神ゲーだと思った。
ソウルシリーズとは別の面白さがあり、めちゃくちゃ楽しませてもらったし、とても心に残る体験だった。
ゲームだからこそ可能な感動があり、期待していた以上のものを与えてくれた。
しかし、アクションゲームが苦手な人にはどうやってもおすすめできない。それくらい難しい。
すでにある程度ゲームのプレイスキルには自信があって、なおかつトライ&エラーが好きな人でなければ、積極的には薦められないソフトではある。
『SEKIRO』に比べると、初代『ダークソウル』や『ダークソウル3』のほうが、初心者にはずっとおすすめしやすいと思えるくらいだ。
以上が、SEKIROを一度クリアしてみての感想である。
当ブログでは、「PS4のゲームソフトおすすめランキング」も執筆しているので、この記事が参考になったのであれば、ランキングのほうもぜひ見ていって欲しい。
コメントを残す