今回は、今年やってめちゃくちゃ面白かったゲームの紹介だ。
紹介したいのは、2018年5月25日に発売されたPS4用ソフト『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』。
ディベロッパー(開発)は、フランスのパリに拠点を置く「クランティク・ドリーム」。
パブリッシャー(販売)は「ソニー・インタラクティブエンタテインメント」で、ストーリー重視のゲームだけあって、日本語への翻訳は完璧になされている。洋ゲーだからといって翻訳面での不満は一切ないと言える。
世界的な人気ゲームなので、ほとんどのゲームショップに置いてあるだろうし、Amazonで普通に買うこともできる。
今回は、気になっている人のために、「デトロイドビカムヒューマン」の紹介とレビューを行おうと思っているが、ネタバレは無しでやっていく。
というより、プレイヤーの選択によってストーリーがいくつも分岐していくので、ネタバレしようにも難しいゲームなのだ。
デトロイドビカムヒューマンはどういうゲーム?

ゲームジャンルは、アクションでもRPGでもない。プレイヤーの探索と選択によって物語が進んでいくので、従来のジャンルに照らして言えば「アドベンチャーゲーム」ということになるだろう。
日本の有名なゲームで言えば、『ポートピア連続殺人事件』、『弟切草』、『逆転裁判』のようなタイプに近い。ただ、グラフィックは絵とテキストによる紙芝居的なものではなく、映画の中にそのまま入り込んだみたいな、圧倒的な没入感・感情移入感だ。
公式によると、「オープン・シナリオ・アドベンチャー」となっている。
時間内のコマンド選択など、多少はアクションゲームっぽい要素もあるが、易しめの難易度を選ぶこともできるので、苦手な人でもまったく問題ない。
「ゲームの上手さ(成功するかどうか)」ではなく、「プレイヤーの選択(何を選ぶか)」が問われるゲームなので、特にプレイヤースキルが求められるような要素はない。
RPGやアクションゲームなど、一般的なゲームをやらない、ゲームが苦手な人にもおすすめしやすいタイトルだ。
プレイヤーの選択によってストーリーが分岐するので、どういう結末にたどり着くのかはプレイヤー次第。
オンラインにすれば、ゲームでその選択肢を選んだ人の比率が表示される。

自分の選択は、他にどれくらいの人が選んだものなのかも解るので面白いぞ!
ストーリーの分岐はものすごい分量になる。途中の細かい選択などが積み重なって、最後の結果に影響を与えるのだ。
デトロイドビカムヒューマンは何がスゴいのか?

とにかく表現がスゴい。
「プレイヤーが操作・選択する」ことを前提とした、ゲームとしての物語の作り方を、ワンランク更新したような作品だ。
本気で鳥肌が立つシーンがいくつもある。
過去のグラフィックス重視のゲームは、往々にして、映画や映像作品の下位互換になってしまっているものが多かった。
「スゴいのはわかるけど、別にそれゲームでやらなくてもよくね?」という作品ばかりだったのだ。
一方で、この『デトロイトビカムヒューマン』は、ゲームだからこそ可能な表現を確立している。
例えば、アンドロイドが自分の制御プログラムを打ち破って、自らの意思で行動するシーンなど、プレイヤーが実際にボタンを押すことでそれが可能になるのだが、自分で操作することがこれほどまでに物語に没入感を与えるものだとは思わなかった。
ほとんどのゲームにおいて、ゲームパートとストーリーパートは別々のものだった。プレイヤーにモチベーションを与えるためにストーリー要素が用いられてきた。
しかし、『デトロイトビカムヒューマン』は、ストーリーと操作が一体化したゲームなのだ。コンセプトを言葉にするのは簡単だが、実際にそれを破綻なく一つの作品として完成させたのは、とんでもない偉業と言わざるを得ない。
過去の多くのゲームを遊んできた人ほど、このクオリティに衝撃を受けるのではないだろうか?
どういう世界観?

舞台は近未来のデトロイト(アメリカの都市)で、そこではアンドロイドが人間に使役させられている。
建設などの肉体労働、受付や介護などのサービス業、あるいは人間を慰めるための性産業など、様々な仕事にアンドロイドが従事しているのだ。
一方で、アンドロイドに仕事を奪われた人間たちは、アンドロイド反対のデモを繰り広げたりと、アンドロイドに対する憎悪を募らせている集団も多い。
人々のアンドロイドへの接し方は様々で、優しく家族のように接する人もいれば、抵抗できないアンドロイドを虐待するような人間もいる。
何らかの要因によって、虐げられているアンドロイドたちが自我に目覚め始め……とストーリーが展開していく。
主人公は3人いて、3人の視点をかわりばんこにプレイヤーが動かしていく形で、ゲームが進んでいく。
SFとしてはわりとありがちな設定かもしれないが、そのぶん理解しやすく、ゲームの面白さに熱中できる。
どういう人におすすめ?
純粋に、めちゃくちゃ面白くてクオリティの高いゲームなので、特にタイプを限定せずおすすめだ。
個人的には、2018年発売のプレイステーション4のソフトの中では最も面白かった。
あえて言うなら
- 新しいタイプのゲームに心惹かれる人
- 最高のストーリーを体験してみたい人
- 洋画や海外ドラマのテイストが嫌いではない人
みたいな人には、特に向いていると思う。
逆に、どういう人には向いていない?
このゲームに向いていない人は、敵を倒すとレベルアップしたりとか、爽快なアクションで敵をなぎ倒したりとか、RPGやアクションとしてのゲームの面白さを求めている人だ。
シナリオには没入できるが、レベルが上がる快楽や、気持ちいい操作性というのは重視されていない。
「シナリオを楽しむアドベンチャーゲーム」という認識で、買うかどうか検討するのがいいだろう。
違ったタイプの面白いゲームを探している人は、「プレイステーション4ソフトのおすすめランキング」という記事も書いているので、参考にしてみてくれ!
デトロイドビカムヒューマンの評価

「ゲームの新しい地平を切り拓いた傑作」というのが、俺の個人的な評価だ。
ゲームプレイとシナリオを融合させようという試みは、それ以前の多くのゲームで行われてきた。そのコンセプトが、『デトロイトビカムヒューマン』において、一定のクオリティを伴った作品となって発売された。これは、長年のゲーマーにとってもかなり衝撃的なことだったのだ。
遊べば遊ぶほど、様々なアイデアや工夫が見られる。ストーリーの完成度は非常に高い。
エンターテイメントとして、他に得られない体験ができるので、遊ぶ価値は絶対にある!
良い点だけじゃなく悪い点も言うと、「気軽に楽しめるわけではない」ことかもしれない。
惰性でだらだら操作するのが楽しく、適当にやっても満足できるのが魅力のゲームは多いが、『デトロイトビカムヒューマン』はその手のゲームではない。
ストーリーを楽しむためには、それなりの集中力を持って没頭する必要がある。
一つ一つのチャプターで区切りよく楽しめるようにはできてるが、やはり最後までやりきってしまわないと価値がわからない。
ストーリーを体験する上で、心苦しくなるような演出、感情が揺さぶられるようなシーンが少なくないので、プレイするのにけっこうエネルギーが必要。
その点で、気軽に楽しめるゲームとは言えないだろう。
また、リプレイ性(何度も遊んで楽しいか)は、それほど高いとは言えないと感じた。
「複数のエンドがあるなら、何度もやって全部回収しよう」というプレイをする人も当然いるが、そういう遊び方をしても楽しいとは限らない。たくさん分岐があるが、そのすべてを回収してコンプリートすることに楽しみを見出しづらかった。
俺自信も、何度もやって全部の結末を見たわけではない。一度は自分でプレイして、後のシーンはYouTubeなどで検索して見た。
ゲーム実況動画などで、他のプレイヤーが何を考えてどういう選択をするのかを見るは楽しい。
リプレイ性が高いゲームだとは個人的には思わなかったが、少なくとも、自分で一度クリアすることには大きな価値と満足感がある。
ただストーリーを追うだけでなく、自分でゲームをプレイしてみるからこそ、そして自分の選択が反映されるからこその面白さがある。
「選択によってストーリーが変化する」というコンセプトは珍しいものではないが、この作品は、過去の多くの作品が挑戦しながらも、一定の水準には達し得なかったレベルまで行くことに成功している。
シナリオ系ゲームの金字塔となるべき名作であり、これからしばらくは、このゲーム以上のものは出てこない気がする。
人気ゲームだけあって中古ですらそんなに安くはないが、ここ数年のPS4ソフトの中でも圧倒的なクオリティの神ゲーなので、気になった人は遊んでみてくれ!
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