『恋は雨上がりのように』は、「眉月じゅん」先生により、『月刊!スピリッツ、ビッグコミックスピリッツ』で連載されていた恋愛漫画。全10巻で完結済み。
45歳のファミレスの店長で子持ちバツイチのオッサンに、17歳の女子高生が恋をする。
男性向け作品で、「さえない男が美少女にモテまくる」というのはよくあるけど、これはそういう話ではない。
文学作品のような雰囲気と、感傷があって、読むと「うわあああああ」と言いながら突っ伏したくなるような漫画なのだ。
「感傷マゾ」という言葉があることを知った
この『恋は雨上がりのように』という漫画を通してはないけど、SNSで「感傷マゾ」という言葉が流行っているのを知って、「こういうことか!」という気づきを得た。
「感傷」というのは、一般的に気持ちの良い感情ではないのだけど、「感傷に浸る」のが癖になってしまうようなところがある。だから人は、もう自分は二度とそこに戻れないのだという嫌悪感を抱きながら、青春系のアニメを好んで見たりするのだ。それを「感傷マゾ」というらしい。
『恋は雨上がりのように』は、感傷マゾ的な要素が詰まった作品だ。
女子高生の瑞々しさ、中年男性であることの諦め、年齢が離れているがゆえのぎこちなさなど、所々で「うわあああああ」と叫びたくなる感じがある。

自分は、主人公のオッサン「近藤正己」に、年齢や境遇など、わりと近い部分があったので、ますますそういう感傷を感じやすかったのかもしれない。
漫画全体を通して、劇的な悲劇があるというのではないのだけど、そこはかとなく鬱っぽくなるような描写が上手い。
あと、作者が女性の方だからか、心理描写にもリアリティがあるというか、生々しくて、それがよりいっそう感傷をそそる。
空気感がわかるかどうか
「さえない中年のオジサンが、美少女女子高生とくっつくかもしれない!」というキャッチーさで物語をひっぱりながら、たっぷりと感傷を盛りこむ手腕が見事。
結果的に、アニメ化、実写映画化も果たした超人気作になった。
ただ、人によって評価は分かれるかもしれない。
雰囲気とか文学性とか、そういうものが合わない人にとっては、よくわからない凡作となるかもしれない。
そういえば、実写映画化で知名度が一気に上がった際に、「17歳の女性が45歳の男性に恋をする」という部分に怒っていた「女性」運動家の方々もいたようだ。
「読み取れない」人にとっては、よくわからない作品かもしれない。たしかに、ストーリーだけを追ってみれば、そこまで目新しいものはないかもしれない。
雨の匂いとか、その場の空気感とかが伝わってきて、そういうのが好きな人にとっては、「良い漫画だなあ」という感想になると思う。

アニメも原作リスペクトで良い
個人的には、「漫画」で読むからこそ良い作品だと思っているので、漫画のほうをおすすめしたい。
ただ、アニメも、原作へのリスペクトがめちゃくちゃあって、とても良かった。
ここまで原作に準拠したアニメもなかなかないのではないかと思う。
Amazonプライムビデオなどで見れるので、動画サービスに登録している人は探してみると見つかるかも。
レビューは以上。
『恋は雨上がりのように』は、大人気作だが、「一部の人には熱烈にウケる」という感じなので、万人におすすめできるかというと、ちょっと微妙なところ。
でも、波長が合う人にとっては、かなりハマる作品だと思う。
このレビューを読んで気になったという方は、ぜひチェックしてみてくれ!
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