「小林銅蟲(こばやしどうむ)」という、特定の界隈で有名な男がいるのだけど、彼を知ったのは、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション 会社と家族にサヨナラ~ニートの先の幸せ』がキッカケだった。
才能のあるクリエイターが集まってニート生活をしている様子を映したドキュメンタリーで、ネットで話題になっていたから見たのだが、めちゃくちゃ面白かった!
又吉直樹の語りや、主題歌の「サンサーラ」もとても良い味を出していて、今まで見たドキュメンタリーの中でもトップクラスに面白かったかもしれない。
その『ザ・ノンフィクション』の中で、漫画家「小林銅蟲」先生が登場する。

もともと「知る人ぞ知る」という漫画家で、インターネットの界隈の中では影響力のある存在だったみたいだ。
Web上で『ねぎ姉さん』という4コマ漫画を描いたりしていて、ネット上で嫁を募集して、やってきた女性と結婚したりと、社会性の欠如した仲間たちで結婚式を開いたりと、そういう様子がドキュメンタリー番組で放映されていた。
そんな「小林銅蟲」先生が、講談社の「イブニング」で連載していたのが、異色のグルメ漫画『めしにしましょう』だ。
「イブニング」公式サイトで、第1話を無料で読める。
めしにしましょう|イブニング公式サイト – 講談社の青年漫画誌
本人が女体化して作中に登場
『ザ・ノンフィクション』で見たのだが、「小林銅蟲」先生は、『累 -かさね-』で大ブレイクした人気漫画家「松浦だるま」先生のアシスタントを務めていた。
「小林銅蟲」先生は、そこで炊事も担当していたのだが、そのときの経験がベースになっている。
作中に出てくる漫画家「广大脳子(まだれだいのうこ)」のモデルが、おそらく「松浦だるま」先生で、そのチーフアセスメントである「青梅川おめが」が「小林銅蟲」本人だ。

作者自身が女体化して漫画の中に登場するという、なかなかスゴいことになっている。
常識を超えた料理の数々
「食」は人間がもっともアクセスしやすい快楽であり、「グルメ漫画(料理漫画)」と言えば、もっとも多様性のあるジャンルと言っても過言ではない。
そんな中でも、『めしにしましょう』は、オリジナリティの強い料理の数々を提供する。
「小林銅蟲」の料理は、「雑でインパクトがあり、オシャレではなく、こだわるところにはとことんこだわる」という特徴を持っている。バランスの悪さをあえて強調したような料理だ。
あまり良い言い方ではないかもしれないが、「発達障害傾向のある料理」だと思う。そして、似たような性向を持ったインターネット好きな面々から評価されている。

バター1本をまるまる使った「ポテトピュレ」の上に、低温調理した牛モモブロックを乗せる。「バターは多いほうが良い」らしい。
「美味しい」の文法を直接太字でなぞるような、暴力的な料理!

「スマホ」くらいの分厚さのトンカツを乗せたカツ丼。
実際に旨いのかどうかはわからないけど、一度食べてみたくなる。

大量のうにと湯葉を使った「絹かけ丼」。
めちゃくちゃ旨そうだが、身体に悪そう。
まずはブログから見るのがいいと思う
「日本の漫画カルチャーは奥が深いな」と改めて思ってしまうくらい、斬新な作品だと思う。
ただ、文脈があってのものなので、何のコンテクストも知れない初見の読者が読むと、「なんかよくわからない」ということになってしまうかもしれない。
「小林銅蟲」先生は、「パル」というブログをやっているので、まずはブログから見たほうがいいかも!
このブログがめちゃくちゃ面白くて、気づいたら過去の記事を順番にさかのぼって、何時間も見てしまった。
こう言うとあれだが、漫画よりむしろブログが面白い!
漫画『めしにしましょう』は、よく深く知りたい人向けのファンブックみたいな位置づけかもしれない。
話の終わりに、具体的なメニューが書いてあるので、自分で作ってみることができる。

『めしにしましょう』は、第8巻で完結した。
なお、『めしにしましょう』のあとに、『めしのあとはやせましょう』という漫画が始まって、「小林銅蟲」のダイエット挑戦記が綴られるようだ。
「小林銅蟲」先生は、食事会などのリアルイベントもけっこう開いているようだ。
リアルと漫画が繋がったような、独自性のある作風で、これからも注目してしまう。
気になる人はブログなどから読んでみてほしい。
『ザ・ノンフィクション 会社と家族にサヨナラ~ニートの先の幸せ』もおすすめ!
なお、当ブログは「おすすめの漫画ランキング」も書いているので、この記事が参考になったのなら以下も読んでいってほしい。
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