女子格闘技を扱った漫画『鉄風』がリアル路線で面白い!【太田モアレ】

『鉄風(てっぷう)』は、「太田モアレ」によって講談社の「good!アフタヌーン」で連載されていた女子格闘技漫画で、2015年に連載完結している。全8巻。

「格闘漫画」と言えば、漫画の中でも非常にメジャーなジャンルだが、「ジョシカク(女子の格闘技)」の漫画はあんまりない。『ハナカク』とか『放課後少女バウト』などの作品もあるが、現時点における「ジョシカク漫画」の代表作はと言えば『鉄風』だと思っている。

マイナーなジャンルに焦点を当て、かつリアル路線

「女子格闘技」と言えば、最近では、「AbemaTV」による「格闘代理戦争3rdシーズン」や、「RIZIN」などの興行の成功によって日の当たることはあるが、基本的には、あまり日の当たらないマイナージャンルだ。

格闘家の「青木真也」が、「格闘技ってのは懐の深い業界だからね」みたいなことを言っていたが、格闘技の面白さは、競技性よりも、パーソナリティのほうに多くの比重があるように思う。

日本の格闘技は、「K1」の煽りPVなど、「格闘技というヤバい活動を続けてきたパーソナリティ」に焦点を当てる文化があるような気がするけど、「こういう人間がこういう過程を経て、格闘技にたどり着き、それをずっと続けてきた」というところに、面白さのひとつがあるように思う。

「あえて格闘技を続けてきた人間」というのは、どこか魅力的で面白い。

「女子格闘技」というのは、プロになって勝ち続けても「食えない」ような業界であり、『鉄風』もそういうところがキチンと描かれている。

 

ストーリー自体は、女子高生が総合格闘技に出会って上達していく……というわりと王道なのだが、題材が面白いし、ファンタジーではなくリアル路線で、「格闘技をやろうとする普通じゃない女子」が描かれている。

 

歪んでいる女主人公に惹き込まれる

主人公の「石堂夏央」は、身長182センチの高校一年生で、スポーツ関連ならわりと何でもこなせてしまうほど素質がある。入ってすぐのバレー部でも一年生ながらレギュラーを勝ち取ったが、何かしっくりこない日々を過ごしていた。

「馬渡ゆず子」という登場人物に誘われて総合格闘技を知ったのだが、「楽しそうにやっている姿が気に食わない」みたいな理由で、バレー部をやめて、格闘技を始めようとする。

 

ありそうでないようなタイプの主人公で、しかもモチベーションにも説得力があるので、夢中になって読み進めることができた。

 

まっすぐに歪んでいる王道スポーツ漫画

総合格闘技は、必要とされる技術が多岐に渡るので、素人でも最低1年は練習しないとまともに試合ができない。

主人公の「石堂夏央」は、空手の経験というベースがあるし、素質も非常に良いのだが、それだけで簡単に勝てるわけではない。

主人公は、歪んでいるが、歪んでいるからこそ、総合格闘技にのめり込む。

 

自分も格闘技は、観戦ならけっこう好きで、テレビでやってたりすると見るのだが、格闘家って「石堂夏央」みたいなタイプが多いのかもしれない……と思ったりする。

歪んでいる部分と、その歪みを「地味にコツコツ練習していく」に転化させることのできるタイプが、格闘家としては大成するのかなという説得力があって、そういう現実的な部分が面白い。

自分は格闘技をやったことが一切ないので、技術的な部分でのリアリティがあるのかは判別しかねるが、スポーツ漫画の中でも「本物感」を感じる作品だった。

もう連載終了してけっこう時間が経っているが、再評価されて、アニメ化やドラマ化なんかが決まっても特に驚かないクオリティだと思う。

女子格闘技というマイナーなジャンルを扱った良作で、もっと評価されてもいい内容だ。

気になったのであれば、読んでみてほしい!

 

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