自分は、「佐藤秀峰」という漫画家が好きで、中でも『ブラックジャックによろしく』は最高傑作だと思う。
『ブラックジャック』は、言わずと知れた手塚治虫の医療漫画だが、漫画内に「ブラックジャック」が登場するわけではない。医療漫画だから、タイトルを借りたのかもしれない。
エリート大学を出た研修医の「斉藤英二郎」が、様々な医療現場に触れ、成長していく医療漫画。
日本の医療制度の矛盾などを指摘するルポルタージュ的な内容にもなっている。
第1部が13巻で、第2部が9巻あり、実質的に全22巻。
ちなみに本作は、作者によって、著作権のフリー化や二次利用が認められているので、広告やブログなどの素材として使うこともできる。
作者のパーソナリティが反映されたヤバい人物!

「佐藤秀峰」という作家は、個人的には超リスペクトしているのだが、相当ヤバい人物だと思うし、リアルではあまりお近づきになりたくない。
「佐藤秀峰」先生は、リアルでも色んな闘争を繰り広げていて、モーニングの編集部と闘ったり、一方的で失礼な取材をしてきたフジテレビと絶縁したり、ホリエモンが書いた小説がゴーストライターなことをバラしたり、「アマゾンジャパン」に喧嘩を売ったりと、漫画の主人公のようなことを自分がやっている……というアツい人なのだ。(ちなみに、Amazonの第1巻のレビューには、秀峰先生を応援するメッセージがズラッと並んでいる)
『ブラックジャックによろしく』の主人公の「斉藤英二郎」には、「佐藤秀峰」先生のパーソナリティがかなり反映されている気がする。
とにかくヤバいやつなんだよコイツは!

『ブラよろ』の「斎藤先生」は、とにかくヤバい男だ。融通が効かず、周りが見えず、自分の情熱を押し通す。
医療というものに理想を描いていた「斎藤先生」が、辛辣な医療の現実に直面するという漫画なのだが、困難にぶつかっても折れないからこその主人公!
ただ、描写や作画にリアリティがあるだけに、「主人公のぶっとび具合」というのがアリアリと伝わってくる。読んでいて、「も、もうやめとけよ……」言いたくなるのだけど、迫力のある筆致に押されて、グイグイと読み進めてしまう。
綿密な取材のもとに構成されたテーマの重さと、作者の異常なパーソナリティが噛み合った、佐藤秀峰の最高傑作だと思う。
数ある漫画の中でもトップクラスに好きな作品で、何度も読み返している。同時に、「斎藤先生」のような人物とリアルで一緒に仕事をすることになったら、裸足で逃げ出すと思う。
社会人をある程度やった人、組織の中で仕事をしてきた経験がある人なら、「斎藤先生」のヤバさがわかる。そういう意味では、学生と社会人とでは、まったく違った視点で読むことになる漫画と言えるかもしれない。
もし学生時代に読んだことがあって、今は社会人という方は、これを機にもう一度読み直してみてほしい。
社会的な問題を扱っている傑作
医療腐敗、抗がん剤、精神医療、臓器移植、脳死など、様々な問題を扱っている。
ただ、「幅広い視点」という感じでもなく、「斎藤先生」というヤベーやつの視点で描かれるのが面白い。

舞台になる「永禄大学病院」は、めちゃくちゃ腐敗していてすごい酷いことをしているように見えるのだが、それが漫画的な演出なのか、それとも作者のフィルターを通した医療現場がマジでそう見えているのか、判断はつきにくい。
ただ、何か心に迫る形で問題が突きつけられるので、「単なる知識」ではなく、「心の問題」として、社会問題に触れることになる。
教育効果も非常に高い漫画だと思うし、中学校や高校の図書館にこれを置くべきだ。
最高に感動する
何より、この『ブラックジャックによろしく』という漫画は、めちゃくちゃ感動する!
個人的には、「ガン編」の話に、特に胸を打たれた。

2期『続ブラックジャックによろしく』は、やや賛否があって、「斎藤先生」のヤバいところがわかりやすく出ているからか、読者も「この人はいったい何がしたいの……?」と引いてしまっている感じがする。
ただ、個人的には、「斎藤先生は最初からずっとヤバかっただろ!むしろシーズン2のほうが初期よりは発達してるだろ!」とも思う。
自分は2期もすごく好きだし、ラストシーンもめっちゃジーンと来た。
数ある医療漫画の中でも、最高の作品だと思うし、気になる方はぜひ読んでみてください!
時期にもよるかもしれないが、「佐藤秀峰」先生の作品は、「Kindle Unlimited」などで無料配信されていることもあるから、登録している人はチェックしてみよう。
『ブラよろ』の前の代表作が、小学館で連載され、映画化、テレビドラマ化もされた『海猿』
『ブラよろ』の後の代表作が、『特攻の島』
現在連載中の、これまたヤベー漫画が、『Stand by me 描クえもん』
コメントを残す