曲を作ろうとしたとき、上手に歌を歌ったり楽器を演奏しようとしたときに必要になってくるのが「音楽理論」の知識だ。
「キー」、「スケール」、「コード進行」など、音楽理論の基礎がわかっていないと「作曲」をするのは難しい。「歌唱」や「演奏」も、音を外しているかどうかを判断するときなど、基礎的な理論の知識は求められる。
作る側でなくとも、音楽理論を学べば、音楽鑑賞はより楽しくなる。アーティストの工夫の深い部分をちゃんと理解したり、感じ取れたりできるようになる。
今回は、「音楽理論」を独学で勉強するやり方を紹介していく。
音楽系の学校は、授業料がやたら高いところが多いので、基礎的な音楽理論は、「無料のサイト」や「千円程度の本」で学習したほうが絶対に良い!
音楽理論は、最初はとっつきにくく感じるかもしれないが、一度体感的に理解することができれば、新しい視点から音楽を理解できるようになるはずだ。
まず最初に「音楽理論を無料で学べるウェブサイト」、次に「音楽理論を学ぶための本」、最後に「音楽理論を学ぶときに意識したほうがいいこと」を書いていくぞ。
音楽理論を無料で学べるウェブサイト
音楽理論を学べる無料サイトを紹介している。難易度の低い順からなので、上から順番に読んでいくことを推奨。
最初は、一つ一つのトピックを完璧に理解しようとするよりも「音楽にはこういう体系があるんだな……」と何となく俯瞰する感じで、すばやく読み進めていくほうが良い。
「一夜漬け 音楽理論」
おすすめ度:★★★★★
基本的なことがシンプルにまとまっている良サイト。作曲をする上で最低限必要なことが簡潔に書かれている。これだけ読んでも腑に落ちる人は少ないかもしれないが、サッと目を通して「だいたいこういうことを理解する必要があるんだな」と認識しておくだけでも価値がある。
「誰でもわかる!音楽理論」
おすすめ度:★★★★★
素晴らしいサイト。「一夜漬け 音楽理論」より詳しいし、連中問題やドリルがついているので、それを解きながら覚えることができる。目を通しただけでは意外と理解できていないものなので、練習問題をやってみることでそれがわかる。音楽理論についてピンと来ていなくても、機械的にドリルを解けるまで練習しておくといい。「音楽理論」は、最終的には、自分で作曲したり演奏してみて始めて納得できるようなもの。座学は準備運動のような認識で。
sleepfreaks「音楽理論 初級編」
おすすめ度:★★★★★
「sleepfreaks」は、DTMをやっている人なら誰もが検索でたどり着くことがあるようなサイトだ。DTMのレッスンを仕事にしている会社だが、無料でネットに公開している情報だけでもめちゃくちゃ役に立つ。図解付きでわかりやすいだけでなく、DAWの画面も移してくれているので実践的だ。構成もちゃんと練られていて、無料で手に入る情報の上限だろう。
音楽理論を学べるおすすめの本
本のメリットは、体系的にまとまっていることだ。
無料のサイトに比べて記述もしっかりしている。ただ、冗長だったり、著者の主観が強すぎたりする場合もある。基本的にこの記事では、作曲向けの実践的な本を選んでいる。
「作りながら覚える」のが効果的で、それを億劫がると、結局のところ習得に遠回りすることになると思う。理論それ自体をそれ自体として学ぼうとするのは、本気で専門家を目指さない限りメリットが少ない。
書籍レベルの音楽理論は、基本的に作曲のための知識なので、実際に曲を作ってみることで真価を実感できる。
作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~
おすすめ度:★★★
ライトノベル形式の作曲入門書。すらすら読めて、作曲するにあたっての心構えがいい感じに書かれている。作曲や音楽理論に対してのモチベーションが上がるだろう。こういうのが好きな人なら、読んで良かった感じると思う。
これ一冊読んだからといって曲が作れるようになるわけではないので、別に必読ではない。値段もやや高いので、興味がなかったらスルーしても良い。
作りながら覚える 3日で作曲入門
おすすめ度:★★★★★
初心者ならほぼ必読。まずはこれを買って、実際に手を動かしながら学んでいくことをおすすめする。
音楽理論は、手を動かして曲を作ってみないと身につかない。面倒臭がらず、DAWをインストールし、自分で弾いたコードを聴きながら理解していこう。
無料作曲ソフト(WindowsとMac両方に配慮している)のインストール方法から、実践的な打ち込みの方法など、書かれていることをちゃんとやれば結果的に音楽理論も理解できる。
音楽系の本は良書が少ないが、これは初心者にとって間違いなく役に立つ本だと思う。
鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン
おすすめ度:★★★
初心者が曲を作り始めるとき、たいてい、頭の中で流せる歌か、鼻歌をベースに、それを実装していくという泥臭い作業から始めることになる。そこにフォーカスしているのが本書。
上で紹介したサイトや本を見てもよく理解できなかった人にとっても、助けになる部分は多いだろう。上の『作りながら覚える 3日で作曲入門』の内容をちゃんとやれて理解できなら、これは読まなくてもいいと思う。
使える! コード理論 丸暗記不要のクリエイター向けレッスン
おすすめ度:★★★★
音楽理論を応用して曲を作りたいならこれがおすすめ。軽いノリで書かれているが、けっこう本格的なところまでカバーしている。
応用的な理論を実践に結びつきやすいように教えてくれる良い本。学術レベルで音楽を学びたいならともかく、ポップスやロックに理論を絡めて曲を作っていきたいという程度であれば、ここに書かれていることをちゃんと理解できれば十分過ぎるほどだろう。
よくわかる音楽理論の教科書
おすすめ度:★★★
けっこう踏み込んだところまでを、比較的わかりやすく解説している本。「対位法」や「和声学」、「ジャズコード理論」と「ロックコード理論」の違いなど、視点が面白いし、よくまとまっていると思う。
難易度はかなり高め。基礎的なところから解説しているが、初学者にとっては難しいと思う。上で紹介してきたサイトや本を読んでから、それ以上を目指すのであれば手に取ろう。
聴くだけ作曲入門~藤巻メソッド~
おすすめ度:★
これは紹介というわけではないのだが、音楽界隈では「藤巻浩」という方の音楽理論本がかなり売れているらしい。
『聴くだけ楽典入門』『聴くだけスケール入門』『コード作曲法』など、同じ著者の音楽理論の本が数多く出版されているが、俺はこのシリーズはおすすめしない。正直、これらの本が評価されていることに驚きを禁じ得ない。
初心者には難しいとかではなく、純粋に説明が下手。「モノ教えるってレベルじゃねぇぞ!」と叫びたくなる。「概念を言語化して説明する」という基本的なことができていないと思う。
この本がAmazonレビューでやたら評価されているのは謎だ。楽器の演奏から音楽理論に親しんだ人が、本書を読んで「よくまとまっているなあ」と感心しているのではないだろうか。楽器をやっていない初学者が読んでわかりやすい本であるとはどうしても思えない。
これはあくまで俺の主観なので、あてにしなくて構わない。Amazonレビューでは評価の高い定番のシリーズなので、気になるなら買ってみていいのではないかと思う。
音楽理論を学ぶための心構え
音楽理論をこれから学んでいく上で、参考になりそうなTipsを、個人的に書いていく。
そもそも音楽理論とはどういうものか?
作曲にはほぼ無限通りの方法がある。キーボードを適当にガチャガチャ押しても音の連続であり、曲が成り立つ条件は満たすが、まともな曲になるわけではない。
あえて雑に説明するならば、「音楽理論」は「作曲でやらないほうがいいことを学ぶ」ためにある。やらないほうがいいことがわかっていれば、パターンが制限されて、むやみに良い響きを探す手間が省けるので、曲がスムーズに作りやすくなる。音楽理論を学んだからと言って必ずしも曲が作れるわけではないけど、大きくパターンを絞ることができるのだ。
曲は、たいていの場合、「和音」と言って、いくつかの音を同時に鳴らすことによって成り立つ。その際に、良い音の響き方と、良くない音の響き方を研究することで、音楽理論の体系が生まれた。
良い感じの音の響きを「協和音」と言い、あんまり良くない感じの音の響きを「不協和音」と言うのだが、作曲をする際は、なるべく「不協和音」を避けるようにして曲を作っていく。それをやりやすくするために、「スケール」などの概念があるのだ。
実際には、曲の流れによっては、「不協和」なはずの音でも良い感じに聴こえることがあって、それが音楽理論の醍醐味でもあるのだが、際どいところを追求するのは応用編である。
まずは、基礎中の基礎である、「不協和な音を避けながら作曲できるようになること」を目指すべきだ。
実は、ポップス(歌謡曲)には、わりと強固な定形(枠組み)があって、それを守ることで、親しみやすい曲を作れるようになる。それに従って作曲する場合も、あえてそこから外れる場合も、まずは基礎的な音楽理論を知っていないと、どういう枠組みがあるかさえも見ることはできないだろう。
音楽理論の学び方
音楽理論は、実際にキーボードを押したりギターを弾いて、自分の耳で「協和音」と「不協和音」を判別する作業なくしては、マスターできない。
数学が実際に問題を説いてみないと上達しないのと同様に、音楽理論も、参考書をただ眺めるだけでなく、手を動かしながら覚えなければならない。
DAWをインストールして、MIDIキーボードをいつでも弾けるような準備をしてから、音楽理論の学習にとりかかったほうが、最後まで理解できる確率は高くなるだろう。何度も言うが、あくまで作曲のための理論なので、「音楽理論それ自体」をじっくり学ぼうとするよりも、曲を作りながら覚えたほうがずっと効率的だ。
音楽制作用の機材やソフトに関しては、
という記事を書いているので、よかったら参考にして欲しい。
また、当ブログでは、「おすすめのアーティスト記事」「おすすめヘッドホン記事」なども書いているので、興味があるならぜひ読んでいってくれ!
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